役員退職金の適正額について
今日は、お付き合いのある社長より、「会長へ退職金を支給したいがいくらが妥当か」、という質問を頂きました。
中小企業の役員退職金の金額の決め方は、一般的に平均功績倍率法という、
平均功績倍率法=最終報酬月額×在職年数×比較法人の平均功績倍率
この算式にて求めます。
この算式にある、平均功績倍率を何倍にするか、にも考慮が必要ですが、この倍率は長年3倍程度が一般的とされていました(法律で定められてはいませんが、東京地裁で3倍とされた事例が根拠となっています。参考:東京地裁昭和44年(行ウ)第84号法人税課税処分取消請求事件)。
ただしこの裁決例も過去の好景気であった時代の例ですので、平成20年後半の判例では1倍後半で可決される事例もあることから、会社の業績や創業者であったかなどの状況を加味する必要があります。
このようにお伝えしたところ、
「実は今、会長は非常勤扱いのため、全盛期の社長時代より月額報酬が低いので、この方法で計算すると、すごく少なく計算されてしまうから、全盛期を考慮した金額にしたい。」と追加の要望がありました。
このように直前の給与が低い場合は、一年当たり平均額法という、
一年当たり平均額法=比較法人の一年当たりの退職金平均額×在職年数
この算式により算定するのがより合理的な方法とされています(この算式についても、法律で定められているものではなく、実務上の慣習的な方法です)。
こちらの方法を提案したところ、納得をして頂いたようで、解決することができました。
役員退職金については、ストックオプションの制限改正があったり、勤続年数によっては所得税の計算で1/2の軽減が認められない改正があったり、その都度対応していかなければなりません。また、一言で「役員」といっても、立場も様々のため、取扱いを一律にすることは難しいなと思った件でした。